スピードテスト(Ookla)でサーバが激減した。なにが起きたのか、なぜ起きたのか。

23日に、Speedtest by Ooklaのサーバが激減しましたね。
インフラを提供しているモニタリングサービス側でもサーバリストからの削除を検知しました。

スピードテストサーバは、私も一時期提供していましたが、コストや品質の面でサービス提供が難しいと判断して撤退した経緯があります。

このサーバが激減した事件、色々とまとめてくれているブログがありますので、ご紹介します。

曰く、個人の提供しているサーバは受け入れしないポリシーに変更になったという背景のようです。

なお、削除された時間などはこちらの記事にて記録されています。→https://yoshis.jp/blog/ookla0223/


Twitterを見る限り、個人のサーバ管理者側は色々思うことがあるようですが、BtoCのサービスにおいてそんなことは知ったことではないので、利用者サイドから見たメリデメとサーバ管理者の責任を考えてみます。

利用者からはメリットの方が大きい

今回のポリシーの変更は、利用者にとってメリットが大きいと考えています。
一般の利用者が求めていることは「その時点の正確な速度計測」であり、「サーバを選ぶことの楽しさ」ではありません。

スピードテストのようなホスト側に安定した回線品質を求められるサービスにおいて、個人の資産や技術では安定したサービスを提供することは難しいと考えています。
最初はすこし混乱があるかもしれませんが、安定した回線品質を提供することができ、社会的責任のある法人のみにホスト提供が限定されたことは、結果として正しい測定結果を提供することに繋がるため、利用者にとってはメリットでしょう。

デメリットはサーバが首都圏に集中したこと

生き残った法人のサーバの半数は東京都や首都圏に置かれています。
あと、大阪に1つ、東北に1つ、沖縄に3つと言うところでしょうか。
サーバの分散に課題はあるように思います。

スピードテストはその仕組み上、体感の速度(普通にウェブを見ている時の速度感)と実測(スピードテストでの結果)とでに差がつくことがあります。

東日本においては、サーバの選択肢が十分にありますのでさほど問題にならないかもしれませんが、西日本は近い計測ホストが少ないため、より1Mbps早くとか1ms早く、という実測値至上主義な計測には向かないかもしれません。
しかし、大抵のウェブサービスのサーバは東京におかれていますから、その体感に近くなっている測定結果を見る一般のユーザーにとっては、そこまで問題になりません。

この辺りはOoklaのロジックやサーバ誘致の努力次第ではないでしょうか。
ISPやキャリアはどんどん参入してほしいですね。

個人管理者が期待に応えられなかった結果

今回、Ooklaが行った個人サーバのリジェクトは、Ooklaの期待していたものに個人サーバの管理者が達することができなかった結果だと捉えることができます。

その上で、日本のみにフォーカスを絞って、過去の個人サーバの動向を客観的に見たところ、確かにOoklaの期待に外れた事案がありました。

それは、J-COMのIPブロックです。

一時期から、誰から始めたかは知りませんが、J-COMのIP帯の一律ブロックなど、一般利用者にとって不公平となる対応を個人サーバは行っており、利用者にとって不利益となる状況が続いていました。

Ooklaの利用規約には、「正確さと高品質のパフォーマンスを担保すべく、計測ホストとして利用できる状態を維持する義務がある」という趣旨の記載があります。

上述のJ-COMの原因がDoSという不幸なものであるとはいえ、DoSなどの迷惑行為を受けた際の標準的な対応(J-COMに通報したり、都道府県警の通報窓口に連絡したりするなど)が行えていなかったのなら、上述のような広域なIPブロックを継続して実施することは「計測ホストとして利用できる状態を維持していた」とは認められないでしょう。

今後、ポリシーが見直されるかもしれませんし、もっと厳格になるかもしれません。
どちらにしろサービス利用者側からしてメリットのあるものなのであれば歓迎すべきだと考えています。